愛知県原水爆被災者の会(愛友会)

理事長あいさつ


 新年明けましておめでとうございます。

 

 1月22日、核兵器禁止条約の発効が確定します。核兵器禁止条約の実現は、亡くなった多くの被爆者と今を生きる被爆者にとって言葉では表現できない程大きな喜びです。

 

【要求実現は永く苦しい闘いでした】

 1945年から1956年の11年間、生き残った被爆者は、原因不明の無残な姿で次々と死んでいくのを目前にし、次は自分ではないかという不安の中に生活していたのです。占領軍の原爆報道禁止命令に日本政府も沈黙を強いられたのです。この間に「ぶらぶら病・男は雇うな・女は結婚するな・子どもは産むな・原爆病は人にうつる」などの差別と偏見が生じました。そして今も、「病気の不安と恐怖・子や孫の病気・健康への不安」なによりも「忘れたいが、忘れられないあの日の体験」に心と体と暮らしの傷を負ったのでした。

 1956年、日本原水爆被害者団体協議会を結成し①自らを救い、世界のどこにも被爆者を作らない―核兵器禁止と廃絶―②原爆死者と生き残った被爆者への国の償いと援護策制定、の2大要求を掲げ全国へと運動を拡大していったのです。

 

【1300万ヒバクシャ国際署名の取り組み】

 2015年、国連において核兵器禁止条約の議論は世界が注目、核保有国と非核保有国の激しい論争の末「決裂」。被爆者は「あの時、家族や友人と一緒に死んでいればよかった」と落胆の声。これまでの被爆運動の総括を通して生まれたのが国際署名です。2016年から全世界に訴え署名開始。NATO諸国の傍観・アメリカの懐柔と脅しなど多くの困難を乗り越えて2017年7月核兵器禁止条約は、核保有国と日本は議場の外で見守る中、122ヶ国で採択され成立。僅か2年足らずで採択されたことに驚きました。私たち被爆者は生きていて良かったと心から喜びを分かち合いました。条約発効は50ヶ国の批准がなければ発効されません。米国は批准国へ圧力をかけ、ロシアは、批准状況にない、中国は、自国削減に応じないと有力な核保有国の牽制の中でで2020年10月24日に50ヶ国が批准し発効することが確定しました。

 

【これからの課題と被爆者の今】

 1月22日禁止条約発効を迎え23日より全国一斉行動します。要求は2つ、日本政府へ禁止条約を批准し条約締結国にする。そのために国県地方議員にアンケート・要請行動。ⅣPT(核不拡散条約)会議を再生させ核軍縮を推進させていく活動をします。

 又、批准国による締結国会議は1年以内に開催します。日本政府は、この会議に参加しなければ実質的な「橋渡し」はできません。核廃絶の検証方法など日本抜きで決定されることになります。

 被爆者は今、全国に136,682人、愛知県1,746人(うち名古屋市682人)です。平均年齢は83歳。毎年1万人余が亡くなる超高齢です。高齢化は放射能に汚染された体に病を誘発します。昨年、広島・名古屋地方裁判所で原爆認定された被爆者が国の控訴により最高裁で認定取り消しになるなど、抜本的な援護策改定が喫緊の課題です。又2世の実態が明らかになりました。2018年度、2世検診者17,000名のうち9,000名が要精密検査対象者です。受診者が少ない原因は深刻です。被爆者自身が家族に告知していない、2世も親が傷つくので体調不良は言えない等々。課題は山積みです。

 ……母が亡くなり自分の被爆体験を知ってから7年間活動しましたが未だ戦争・原爆について勉強中です。感じたことや今の思いを知って頂きたいとの思いで書きました。

 今後も皆さんに協力をお願いすることもありますが宜しくお願いします。

 

    愛知県原水爆被災者の会(愛友会) 理事長 金本 弘




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